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毎週日曜日早朝放送の「朝の小鳥」。毎回、構成者の松田道生さん(写真左)、担当ディレクターの佐々木なほ子さん、そしてナレーション担当・石川真紀アナウンサー(写真右)の3名により、息の合った共同作業で作られて行く。
番組にとって一番重要な素材はもちろん「鳥の声」の音源だ。故・蒲谷鶴彦先生の頃は録音機材も大きく重く、大変な作業であり、今でも数多くのエピソードが伝説のように残されている。佐々木さんは「蒲谷さんの録音には奥行きがあり、まるで風景画を見せられているようであった」と振り返る。この大変な作業を受け継いだ松田さん。録音機材は信じられないほど小さく、編集作業もデジタル化されたのだが、逆に肝心の鳥影が減り、人工的な雑音が増え、新たな苦労が絶えないようである。それでも蒲谷先生の伝統を受け継ぎつつ、新たな試みにも意欲的だ。
収録日当日。音源とナレーション原稿を持ち込み松田さんが局入りする。原稿のチェックを、その日の構成に基づいて、三人で行う。松田さんと佐々木さんは音源とナレーションの組み立てを再確認。あくまでも主役は自然の中の「鳥」の声である。従って台本に合わせて鳥の鳴き声の間隔を調整すると言う作業はなされない。例えばフクロウ。声と声の間隔が長く間延びしてしまうからと言って声の部分を詰めてしまうと不自然だ。「鳥」の声の自然で微妙な間に石川アナの声がすっと入り込むように考え抜かれた番組構成なのだ。
この日の収録は第1週から順にリハーサル、本番と2回ずつの繰り返し。早速、冒頭のアナウンスが流れる。「おはようございます。バードウォッチングツアーのワイバードがお送りする、朝の小鳥の時間がまいりました。」(注:地方局で流れる場合には弊社の名前は流れない。)
続いて、番組のテーマ曲である「グリーグ作曲≪ペールギュント組曲・朝のメロディー≫」が流れ始めた。松田さん曰く「この曲ってどんな鳥の声を被せても不思議とピッタリと合うんだよね。」荘厳ながら爽やか、一度耳にすると忘れられないメロディーだ。
佐々木さんが調整卓に手をやりながら優しく「キュー」を出す。何気ない動作だが、聞けば常に番組に合わせた「キュー」出しを心がけておられるとか。細やかな心遣いが感じられる。
テーマ曲が終わり主役の鳥の鳴き声に入る。「●●の声です・・・。」いつものように鳥名から解説部分に入る。よく見ると石川アナの手元には原稿の他に、鳥の図鑑が置かれていた。これは打ち合わせの段階で松田さんが用意されたものらしく、彼女は声の主の写真を見ながらナレーションを付けていたのだ。また、収録の前に必ず音を録った時のシチュエーションを尋ねるとか。「この番組を担当するようになってからは、日常生活でも鳥の声が気にかかるようになってきた。」「鳥の声を聞きながら、鳥同士のコミュニケーションを想像するのが楽しい。」と、すっかり鳥に興味を持ち出した彼女。この番組では想像出来ないが、趣味はフラメンコと言う情熱家だそう。
 
収録中の佐々木さんは全神経を集中し、正に真剣勝負だ。指は常にフェーダーに。目は台本とモニター画面だ。実は今回、私が最も驚いたのがこのモニター画面である。鳥の声が右から左へ流れて行く。画面の中心が今、流れている音。従って数秒前から音の波動がわかるので石川アナへの確実な指示とミキシングが可能になる。何度も音源を聞き、ある程度は勘で行なっていた数年前に比べると物凄い進化である。しかしどんなに機材が進化しても最後の決め手は職人芸だ。佐々木さんは鳥の声、読み手の呼吸を聞き取りながら仕上げて行く。彼女に秘訣を聞いてみた。「私はミキサーを動かすだけだから。」プロの言葉だ。
正味3分30秒の本編はあっと言う間に終了となる。いつもながら松田さんの構成には脱帽だ。限られた時間内に朝の情景を詩のように謳いあげる。「清清しい朝に相応しい音選びが難しい」と松田さん。「穏やかな目覚めを邪魔しないアナウンスを心がけている」と石川さん。エンディングで再び流れる≪ペールギュント組曲・朝のメロディー≫。スタジオ内の空気はまさに朝だ。余韻を残しながら最後の締めのナレーションが入る。「収録構成は松田道生さんでした。この番組はバードウォッチングツアーのワイバードがお送りしました。」
・・・皆さんもぜひ日曜日の朝は早起きして、5時15分、ラジオのダイヤルを文化放送1134Khzに合わせてお聴きください。
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