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第四十五回 珍鳥が棲むモンゴルへ (6月22日)
 台湾の次はモンゴルである。モンゴルは、4種類のサバクヒタキ類、キガシラセキレイ、アカツキシガモ、アネハヅル、オオチドリなどなど、日本では珍鳥と言われる野鳥の宝庫であるため、それらの野鳥を見たいと、毎年多くの方が参加されているツアーだ。今年もたくさんの野鳥を見聞きすることができ、充実したツアーができた。
 モンゴル、ウランバートルへ到着し、翌日、国内線の飛行機を乗り継ぎ南ゴビへと向かった。南ゴビは砂漠地帯であるが、今年は雨が多かったらしく、ある場所では草原と化していた。草原になったからといって鳥の層が変わるわけではなく、いつも通りの鳥たちが我々を待ち受けていた。宿泊するゲルの周りでは、早朝からハマヒバリとイナバヒタキがうるさくさえずる。砂漠のど真ん中なのに!と驚きもするが、人間が住むところにスズメありである。さて南ゴビにはワシ谷と呼ばれる渓谷がいくつか存在する。標高が25000mを超し雪が残る。ある年には、6月だというのに雪が降ったこともある。渓谷の奥から雪解けの水が流れ小川が形成され小鳥たちが水を飲み、水浴びをし、巣材集めをしている。小川の周辺は草原になっていて、放牧された牛や馬の餌場となり、ナキウサギやトビネズミなどの齧歯類がたくさん走り回っている。これらが猛禽類の餌となり、たくさんの猛禽類が棲んでいるのである。数種類いる猛禽類の中で一番の狙いはヒゲワシ。谷を奥へ奥へと進んでいくと、断崖絶壁の岩山に囲まれる。その岩山を丹念に見ていくと猛禽類の巣がいくつも目に入る。古巣もあれば新しい巣もある。その中の一つの巣に黒い影が動く。早速望遠鏡でのぞくと、独特のくちばしを持ったヒゲワシのヒナであることがすぐに分かった。親鳥がいない。餌を持って来ないだろうか、としばらく待ったが親に合うことはなかった。しかし、もう一ヶ所の谷ではペアーで飛ぶヒゲワシに出合うことができたことは幸いであった。その他にはシロエリヒゲワシ、オオノスリ、ワキスジハヤブサ、イヌワシなどの猛禽類を楽しむことができた。
 小鳥たちはというと、岩の頂でシロビタイジョウビタキ、ノドジロムシクイ、イナバヒタキが、灌木の枝先ではウスヤマヒバリ、アカマシコがさえずり、なつっこいユキスズメは我々の後を追いかける。草地ではハシグロヒタキ、ハマヒバリが餌を取る。小川の水場にはコウザンマシコやモウコナキマシコなどが代わる代わるやって来る。歩きながら上を見たり、下を見たりと探鳥も忙しい。特筆すべきは、ツアーの中でセグロサバクヒタキが見られる場所が一ヶ所しかない。毎年同じ場所で繁殖しており、ツアーの時はいつも餌運びで忙しくしている。昨年から、この場所でイワバホオジロが見られるようになってきた。日本では、まだ数例の記録しかない珍鳥である。昨年は1羽のさえずりが聞かれたが、今年は2羽に増えていた。安定してくれれば、毎年イワバホオジロが見られるようになり目玉が一つ増える。
 ワシ谷の観察の後は、砂漠地帯の観察だ。何箇所か目的の場所があるが、360度同じ風景が広がり、どこを走っているのかさっぱりわからない。しかし、ちゃんと目的の場所に到着する。ドライバーは何を目標に走っているのだろうかといつも感心させられる。目的場所の一つにサケイの水飲み場所がある。雨が降り自然と水が溜まるのであろう。訪れる度に、その池の大きさが変わり、今年はどのような状況になっているのか行ってみないと分からないという不安もあるが楽しみでもある。今年もたくさんのサケイが集まり、ペアーで飛んだり、数羽で飛んだり、群れで飛んだり。地上にいるときは警戒心が強く、なかなか近づくことはできないが、飛びだすと時折近くを飛行してくれる。今年はシロチドリが、可愛いヒナを連れていたり、オオメダイチドリが小群でいたりして楽しい一時を過ごすことができた。実はこのサケイの場所で、ドライバーが放牧民の住むゲルの場所に車を止める、駐車場所を間違えるというハプニングがあった。しかし、このハプニングが功を奏しコキンメフクロウとの出合いにつながった。放牧民の住む場所には、母屋となるゲルの他に家畜を入れる小屋も作られる。その小屋の隙間が、コキンメフクロウにとっては良い塒場所になるのだろう。日中、たまに出て来ては日光浴や餌探しに現れる。我々が間違って着いた頃が、ちょうどそのタイミングと会い目にすることができたのだろう。
 このような探鳥地を、砂漠の中を走り巡って行く。その途中にオオノスリやアネハヅルに合うこともしばしば。そして最も出合いが難しいのがオオチドリだ。オオノスリやアネハヅルは体が大きいためよく目立つし、探しやすい。しかしオオチドリは、オオと言ってもハトより小さく、また体の色も砂漠色で見つけ出すのが困難なのである。ドライバーに色々なところを走ってもらい、出くわす機会を増やすしかない。今まで出会えなかったことはなかったと思うが、今回も偶然とはいえ、出合うことができホッとした。
 南ゴビでの探鳥が終わり、ウランバートルへ戻る。そして風光明媚なテレルジという場所へ向かう。ここは森林が形成され南ゴビとはガラッと環境が変わる。クマゲラの古巣があり、ミユビゲラに出合ったこともある。毎年シラガホオジロとの出合いを楽しみにしているが、今年は繁殖が早かったのか、さえずりも聞くことがなかった。代わりに美声を響かせていたのはニシオジロビタキ。初めて聞くニシオジロビタキのさえずりはとてもうれしかった。コアカゲラも毎年出合う常連さん。木の洞で繁殖するコクマルガラスもかわいかった。さあ、ツアーもそろそろ終わり。バスへの帰り道、電線に止まるツバメを発見。胸から腹が赤く、日本とは亜種が違うアカハラツバメと言われるツバメだ。地面に降り巣材集めでもしていたのだろうか。皆で、この美しいツバメをゆっくり見てツアーの終了となった。今年も大いに興奮させてもらった。モンゴルの鳥たちよ、来年もよろしく頼みます。

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▲ャンプ地の周辺の他、砂漠地帯で普通に見られるイナバヒタキ
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ワシ谷の小川に水を飲みに来たコウザンマシコ
い△舛蕕海舛蕕覇阿回るナキウサギ
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γを飛行するヒゲワシのペアー
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毎年見られるようになるかイワバホオジロ
┸紊魄みにやって来たサケイのペアー
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水を飲み終わり飛び去るオオメダイチドリ
モンゴルでは普通種のオオノスリ
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ドライバーの間違いで見られたコキンメフクロウ
今年もよく現れてくれたオオメダイチドリ
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巣穴から顔をのぞかせるコクマルガラス
腹の赤いツバメは美しく見える

日記 | No.502 中野泰敬 2019/10/07(Mon) 10:56:19


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