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  時の流れは早いもので、ワイバード発足と共にバードウォッチングツアーという言葉もだいぶ浸透して来たように感じています。ツアーの良い点は何と言っても野鳥を探す目が多いということです。一人では見つけられなかった鳥を誰かが見つけてくれる。鳥を見ている時、誰かが他の鳥を探している。
 ツアーではとても効率よく野鳥と出会うことができます。しかし反面、人数が多く、ゆっくり野鳥を見ることができない。探鳥地が限られてしまう。などの欠点が生じてしまうのも事実です。また野鳥に対する圧力も、一人で見ているときよりも増します。このことは案内する私たちが常に念頭に置いておかなければならず、皆さんに我慢を強いることもあります。しかし、それを補い余りあるものがあります。それは感動です。「感動なら一人でも味わえる」と言う声が聞こえてきそうですが、感動をツアーに参加している皆で味わう、共有するというのは格別なものです。一人で味わった感動とは比べものにならない感動がツアーでは存在します。ある種の高揚感とでも言えばよいのでしょうか。ツアーの案内もこの感動があるから続けられるし、続けたくなるのです。

 話はがらりと変わりますが、皆さんはバードウォッチングをしていて一番うれしい時は何ですか?やはり初めて見る鳥に出会った時でしょうか。私もその時はとてもうれしくドキドキします。しかし、今まで見たことのある鳥でも、場所を違えて見た時は新たな気持ちでその鳥を見ることができますし、繰り返し見ることにより違った表情に出会えた時もうれしいものです。ツアーでは毎年同じ場所に行くことが多いですが、鳥との出会い方は毎年違います。10回通えば10通りの出会い方があり、鳥との出会いは正に一期一会なのです。
 そのような皆さんと野鳥たちとの大切な出会いを、しっかりと思い出に残るようにしていきたい。それを目標に案内をしていきたいと思っています。

 
     
 
中野泰敬の『新・今週の鳥』
 
 
中野泰敬のプロフィール
1960年東京生まれ。
学生時代に野鳥に興味を持ち始め、卒業後野鳥写真を扱うフォトライブラリーに入社。そこで多くの野鳥カメラマンたちと出会い、写真家への夢を膨らます。1986年福島県福島市へ転居。福島市小鳥の森でレンジャー(自然解説員)を経験した後、1991年フリーの野鳥カメラマンとして独立。景色の中にたたずむ野鳥の姿をとらえた作風を心がけている。
<主な著書>
・ はじめに覚える33種 河出書房新社 1998年
・ 四季で探す野鳥ハンドブック 新星出版社 1999年
・ 旅のついでのバードウォッチング 人類文化社 1999年
・ 一年で120種の野鳥に出会える本 文一総合出版 2005年
 
     
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